懇談や電話、立ち話で先生に「お願い」をしたが、「その後何も変わらない」と感じる場合がある。原因の1つに「そもそも、保護者の言葉がうまく伝わっていない」という場合がある。伝え方のどこに原因があるのだろうか。
次の文章を読んでいただきたい。
〇清水は正直で優しい男だ。しかし、酒癖が悪い。
〇清水は酒癖が悪い。しかし、正直で優しい男だ。
2つの言い方で、清水の印象はずいぶん違うのがお分かりいただけると思う。日本語は後半に印象が強く残るから、こういう場合は、「言いたいことを最後にもう一度繰り返す」とうまく伝わることになる。
〇清水は正直で優しい男だ。しかし、酒癖が悪い。それでもしかし、清水は正直で優しい男だ。
簡単な方法だが、これで清水の印象は最後の一文ということになる。
今回は「言いたいことを最後にもう一度繰り返す」である。
先生に電話をしていて、ついつい長話になることがある。最初は先生に「申し入れ」を伝えようとしたのだが、途中で話が脱線し、話題があっちこっち広がってしまい、結局何を話したのか分からないまま電話を切ってしまうことがある。「先生に申し入れをしようと電話をしたのに、何だか言いたいことが言えないまま終わってしまった」とモヤモヤした気持ちが残る。「先生はちゃんと受け止めてくれたかしら」と不安になる。
そんな場合、先ほどの方法を使ってみてはいかがだろうか。
(例)
先生いつもありがとうございます。最近宿題が多すぎて家庭で困っていますので、もう少し宿題を減らしてもらえないでしょうか。でも、今年から先生が担任になってうちの子は張り切っています。先生のこととをとても優しい先生だと言って、おかげさまで毎日元気に学校に行きます。いつも本当にありがとうございます。(でも、話が戻りますが)宿題が多すぎて困っていますのでもう少し減らしてもらいたいというお願いです。
これぐらいでいかがだろうか。話の途中で先生の「話術」に乗せられ、はぐらかされてしまう場合がある。そうならないために、別のコラムで書いたが、言いたいことを1つに絞り電話をすることである。そして「言いたいことを最後にもう一度繰り返す」をお試しいただければと思う。
大事なことがブレずにお伝えできると、先生も「主張のブレないしっかりした親御さんだな」と信頼されることにもなるのではないだろうか。
(クレーム 伝え方の工夫 終わり)