連休明けは学校生活もいよいよ本格的に進み始める。4月は新鮮さと緊張感の中での学校生活であったため、何とか持ちこたえられていた子も、5月になると学校が億劫に感じられたり、憂鬱になる。連休明けに限らず、子どもが「学校に行きたくない」と言いだしたら、親としてどうすればいいだろうか。はっきりと「学校に行きたくない」と言わなくても、何となくグズグズする事もあるだろう。そんな時、親としてなんと声をかけるだろうか。

 「どうしたの?学校に行きたくないの?」「どうして行きたくないの?」普通はこんな聞き方をするだろう。この言葉に子どもはなんと返すだろうか。

 そもそも、学校に行きたくない理由は子どもそれぞれである。思いつくままに書いてみる。
①学校で友達とけんかをした。(自分が悪い)②学校で友達の仲間に入れない③学校で先生に叱られた(自分が悪い)④友達とうまくいっていない⑤宿題を学校に忘れてきた(だから先生に叱られる)⑥得意でない授業がある⑦席替えで嫌いな子の隣になった⑧昨夜は家で十分休養できなかった⑨夕方遊びすぎて宿題が済んでいない⑩夕方友達と遊びたかったのに習い事を休ませてくれなくて遊べなかった⑪昨夜父と母がけんかをした⑫家で母親が口やかましく心が休まらない⑬学校で先生が厳しい⑭ゲームのしすぎで眠い⑮何だか分からないが気が進まない⑯勉強が嫌い⑰先生が厳しい(でも優しいときもある)⑱嫌いな給食の日だ

 ぱっと思いつくまま書いてもどんどん出てくるが、この中で「どうして行きたくないの?」と親に聞かれ、親にはっきりと言えるものはどれだろうか。子どもは子どもなりに「こんなこと親に言ったら・・・」と考え、言葉を選んだり口ごもったりしている。「親に心配をかけたくない」との思いから正直に話さない子や「自分に原因があるのだから」という理由で黙っている子もいる。黙っている我が子を見て親は「どうしたの?何かあったの?」理由を聞いてしまう。
 もうお分かりだと思うが、こういった親の問いかけに子どもは本当のことを言わないと思ってよい。

 「親に心配をかけたくない、親のせいにしたくもない、自分がいけないことだから話せない、自分で解決・乗り越えること・・・・」子どもは頭の中で言語化し整理しているわけではないかもしれないが、子どもなりにこんな感覚を持っているはずだ。
 だから子どもが「学校に行きたくない」と言って、親から何度も聞かれ、ようやく口にした「・・・・・だから行きたくない」の理由は、大抵は「人のせい」「不可抗力」になる場合が多い。だから親はその言葉にすぐに飛びついて反応してはいけない。ご主人が「昨夜の帰りが遅くなった理由」を奥さんに正直に話すだろうか。それと同じである。では「学校に行きたくない」にどう対応すればいいだろうか。

 まず大事なことは「共感と自己決定」である。自分で解決・乗り越えようとしている気持ちを後押ししてあげてはいかがだろうか。
 「学校に行きたくない。だって、今度の先生厳しいんだもん」
 「そうなの、清水先生は厳しいのね。だから学校行きたくないの。そいういえばお母さんも中学の時の先生が厳しくて学校行きたくないって思ったことあるよ(共感)」
 まずは子どもの気持ちに共感した上で、「それで今日はどうする?頑張って行く?それとも休む?どっちでもいいよ。(自己決定させる)」
 子どもの言った「先生が厳しい」に、「だったらお母さんが電話してあげる」「今日は学校休みなさい」と飛びつかないことである。

 次に大事なのは「その後の見守り」である。子どもが出したサインを忘れてはいけない。しばらくしたら「先生最近どう?まだ厳しいの?」と聞いてあげればよい。「先生ねすごくおもしろいダジャレ言うんだよ」と言えばほっとするし、「うーん・・・大丈夫。」と言う場合もあり、一過性の理由と一安心できる。その上で、悩みが深刻そうなら先生に相談すればよい。

 もちろん読者が学校の先生ならば「昨日まで元気だった~君が今日は休んだ。学校(学級、担任)に何か原因があるのではないか。」と、ひとまず自分を振り返ることは当然である。
(子どもが学校に行きたくないと言ったら 終わり)